東京地方裁判所 昭和47年(行ウ)159号 判決 1979年9月04日
東京都江東区亀戸町一丁目一〇四番地
原告
日月商事有限会社
右代表者代表取締役
木下次郎こと 具次竜
右訴訟代理人弁護士
佐藤義弥
同
駿河哲男
東京都江東区亀戸二丁目一七番八号
被告
江東東税務署長
右訴訟代理人弁護士
青木康
右指定代理人
増山宏
右
村瀬次郎
右
三上正生
右
渡辺昭寿
右
尾沢安次郎
主文
1 原告の請求をいずれも棄却する。
2 訴訟費用は原告の負担とする。
事実
第一当事者の求めた裁判
一 原告
1 被告が昭和四五年一二月二二日付で原告の昭和四一年一一月一日から昭和四二年一〇月三一日までの事業年度の法人税についてした更正のうち税額一五四万円を超える部分及び重加算税賦課決定を取り消す。
2 訴訟費用は被告の負担とする。
との判決
二 被告
主文と同旨の判決
第二原告の請求原因
一 原告の昭和四一年一一月一日より昭和四二年一〇月三一日までの事業年度(以下「本件事業年度」という。)の法人税について原告がした確定申告、これに対して被告がした更正(以下「本件更正」という。)及び重加算税賦課決定(以下「本件決定」という。)、被告が原告の異議申立てについてした異議決定並びに国税不服審判所長が原告の審査請求についてした裁決の経緯は別表のとおりである。
二 しかしながら、本件更正(前記異議決定で維持された部分。以下同じ)には原告の所得金額を過大に認定した違法があり、したがってこれを前提とした本件決定も違法であるのみならず、計算の基礎となるべき事実についての仮装、隠ぺいもない。よって、原告は本件更正及び本件決定の取消しを求める。
第三請求原因に対する被告の認否及び主張
一 請求原因に対する認否
請求原因一の事実は認めるが、同二は争う。
二 被告の主張
1 原告の所得金額
1 原告の本件事業年度の所得金額及びその算出根拠は以下に述べるとおりであるから本件更正は適法である。
(益金の額) 三〇五五万八二五〇円
(1) 貸付金利息額 二八六九万七六八七円
内訳は別表二記載のとおりである。
(2) 受取家賃 一八四万七七五三円
(3) 雑収入 七五〇〇円
(4) 都民税否認 五三一〇円
(損金の額) 九五四万九二九五円
内訳は別表三記載のとおりである。
(所得金額) 二一〇〇万八九五五円
2 本件決定の適法性
原告は、本件事業年度において、洪大憙ら一〇名から貸付金利息として合計二八六九万七六八七円を得ていたにもかかわらず、これをことさらに、原告の備付帳簿に記載せず右金額に相当する収入を簿外にし、また原告が被告に提出した本件事業年度の法人税の確定申告書の事業種目欄には貸室業、不動産売買と記載されていたにすぎず、貸金業については何らの記載もなく、さらに原告は本件事業年度において同和信用組合(同組合は、昭和四七年九月九日に名称を朝銀東京信用組合と変更した。)上野支店で本間明、白川勝一、大川慎一の仮名を用いて多額の預金取引を行うなどその所得金額及び法人税額の計算の基礎となるべき事実の一部を隠ぺいし、又は仮装し、その隠ぺいし、又は仮装したところに基づき確定申告書を提出していたので本件決定をなしたものである。
3 税額の計算
本件更正に係る法人税額の算定根拠は別紙一のとおりであり、本件決定に係る重加算税額のそれは別紙二のとおりである。
第四被告の主張に対する原告の認否及び主張
一 被告の主張に対する認否
被告の主張1の冒頭の主張は争う。同1(益金の額)は争う。同1(1)のうち別表二番号3の株式会社加登屋(以下「加登屋」という。)からの貸付金利息額は否認するが、その余は認める。同(2)ないし(4)は認める。なお原告は第一〇回口頭弁論期日において右加登屋からの貸付金利息を認めたが、右自白は真実に反し、かつ錯誤に基づくものであるから、これを撤回する。同1(損金の額)、(所得金額)は争う。同2のうち、貸付金利息を帳簿に記載していなかったとの点は知らない。
二 原告の主張
1 加登屋関係
原告は松永清澄に、同人が加登屋に貸与する資金一〇〇〇万円を利息月五分の約定で貸渡しその利息収入として六〇〇〇万円を得たのであるから、益金の額に算入すべき貸付利息額は六〇〇万円である。
仮に、原告が直接加登屋に一〇〇〇万円を貸与し八四〇万円の貸付利息額を得ていたとしても、原告は右松永に対し八四〇万円のうち二四〇万円を仲介手数料及び経費として支払ったのであるから、右金額を損金の額に算入すべきである。
2 強制執行費用関係
被告は、原告が石田利伊知に対してした強制執行の費用として二九万円のみを認めるが、原告は強制執行費用予納金四万円、執行代理人に対する費用七五万円を支出したのであるから、右合計額七九万円を損金の額に算入すべきである。
3 支払利息関係
原告は、別表四記載のとおり同和信用組合上野支店に対する支払利息として被告が主張する一八万四五〇〇円を含めて七七万九八八〇円を支払い、九五万六八〇〇円の債務を負担したのであるから、右金額を損金の額に算入すべきである。
4 貸倒関係
原告は季柱元に対して、昭和四二年五月三〇日から同年九月二五日までの間に六回にわたり合計三一〇四万円を貸付けていたところ、右貸金債権は本件事業年度において貸倒れとなったのであるから、右金額を損金の額に算入すべきである。
5 本件決定について
原告は、昭和四二年一二月五日三和企業有限会社が査察を受けた際に誤認されて帳簿書類の差押を受けたため、法人税の申告期限を昭和四三年二月一五日まで延長されたが決算ができずとりあえず所得金額を五〇〇万円として確定申告したもので、課税標準等の計算の基礎となるべき事実の一部を隠ぺいし、その隠ぺいしたところに基づき納税申告書を提出したものではない。
第五原告の主張に対する被告の認否及び反論
一 原告の主張に対する認否
原告の主張1は否認する。なお被告は原告の自白の撤回に異議がある。同2のうち、執行代理人に対する費用が七五万円であることは否認する。同3のうち、別表四番号5の支払利息一三万〇五〇〇円及び番号6の割引料五万四〇〇〇円は認めるが、その余は知らない。同4の事実は知らない。貸倒損失として損金に算入すべきであるとの主張は争う。同5のうち、原告の帳簿が差押えられたこと、確定申告書の提出期限が昭和四三年二月一五日まで延長されたこと、原告がその主張のような確定申告をしたことは認めるが、その余の主張は争う。
二 被告の反論
1 強制執行費用関係
仮に原告主張のとおり執行代理人に対して費用が支払われたとしても、強制執行の費用は本来債務者が負担すべきものであるから、右執行費用の額は本件事業年度において確定した費用又は損失に該当しないものであり、損金の額には算入されないというべきである。
2 貸倒関係
法人税法において貸倒損失の額が法人の各事業年度の所得の計算上損金の額に算入されるためには、当該法人の有する貸付金等の債権が当該事業年度において確定的に回収不能となったことを要するが、当該債権が回収不能となったかどうかは、単に債権者の主観のみによって決定すべきではなく、債務者の現在及び将来の財政状態、保証人の有無及びその支払能力並びに債権者の採用した取立の手段、方法等を総合して客観的に判断すべきところ、仮に原告が季柱元に対しいくばくかの貸付金を有していたとしても、原告はその返済期日が経過しても元利金を返済するよう請求することもせず、また右貸付に際し右李の妻渡辺享子が小切手を振出したとすれば右李の借入金について右渡辺が保証したものと解すべきであるが、右各小切手はいずれも支払のため呈示され、支払を拒絶された事実もなく、かつ右渡辺が当座取引を取引停止処分によって停止されたのは昭和四三年一一月六日であるから、本件事業年度において前記債権が回収不能となったと認めることは到底できない。
第六原告の再反論
民事訴訟法第五五四条第一項により執行費用として債務者の負担となるのは執行官に支払う費用だけであり、執行を円滑に行うために債務者が準備した多数の人夫に支払う費用は債権者の負担となるのであるから、右費用は損金の額に算入されるべきである。
第七証拠関係
一 原告
1 提出した書証
甲第一号証、第二号証、第三号証の一ないし六及び第四号証
2 援用した証言等
証人李柱元及び同松永清澄の各証言並びに原告代表者尋問の結果
3 乙号証の認否
乙第一号証、第五号証、第七号証、第八号証及び第九号証の一、二の成立は知らない。第四号証の二ないし九及び第一五号証の一、二の原本の存在及びその成立は認める。その余の乙号各証の成立は認める。
二 被告
1 提出した書証
乙第一号証、第二号証、第三号証の一、二、第四号証の一ないし九、第五号証ないし第八号証、第九号証の一、二、第一〇号証ないし第一二号証、第一三号証ないし第一五号証の各一、二、第一六号証及び第一七号証の一ないし三(乙第四号証の二ないし九及び第一五号証の一、二は写をもって提出)
2 援用した証言
証人早川康雄及び同永持公司の各証言
3 甲号証の認否
甲第一号証の成立は認めるが、その余の甲号各証の成立は知らない。
理由
一 請求原因一の事実については当事者間に争いがない。
二 そこで、本件更正に原告の所得金額を過大に認定した違法があるか否かについて検討する。
1 益金の額
(一) 原告の本件事業年度の益金の額に算入すべき金額については、別表二番号3の加登屋からの貸付金利息額を除いて当事者間に争いがない。
(二) 原告は、加登屋からの貸付金利息額について、第一〇回口頭弁論期日において被告主張の八四〇万円を認めたが、その後第三〇回口頭弁論期日において右金額を否認するに至り、これに対し被告は右は自白の撤回であるとして異議を述べるのでこの点について判断すると、右は自白の撤回にあたるというべきであるから右自白が真実に反し錯誤に基づいてなされたものである場合にのみその撤回が許されると解すべきところ、成立に争いのない乙第一六証、証人松永清澄の証言、原告代表者尋問の結果(後記採用しない部分を除く。)及び弁論の全趣旨を合わせば、原告は加登屋に一〇〇〇万円を貸付け、その貸付金利息として本件事業年度に八四〇万円を得ていたことが認められ、原告代表者尋問の結果中右認定に反する部分は採用できず、他に右認定に反する証拠はない。したがって、前記自白は真実に反するものということはできず、その撤回は許されないというべきである。
したがって、原告は本件事業年度において被告主張のとおり二八六九万七六八七円の貸付金利息を得たというべきである。
(三) 以上述べたところから原告の本件事業年度の益金の額を算出すると三〇五五万八二五〇円となる。
2 損金の額
(一) 別表三記載の原告の本件事業年度の損金の額に算入すべき金額のうち番号14、19を除いてその余の各金額については原告において明らかに争わないから、これを自白したものとみなす。
(二) 原告は、右金額のほか次に述べる各金額も損金の額に算入すべきであると主張するので順次検討を加える。
(1) 原告は、加登屋から貸付金利息を得るに際し松永清澄に仲介手数料ないし経費として二四〇万円支払ったと主張し、証人松永清澄の証言及び原告代表者尋問の結果中には右主張に副う部分がある。
しかしながら、成立に争いのない乙第六号証、第一一号証、第一二号証、第一三号証の一、証人早川康雄の証言によって真正に成立したと認められる乙第五号証、第八号証及び第九号証の一、二並びに同証人及び証人永持公司の各証言を合わせると、原告の帳簿には原告主張の仲介手数料ないし経費の記載がなかったこと、東京国税不服審判所係官は加登屋の元代表者神蔵秀男から加登屋は山本商会の大森という人の紹介で原告から金を借りた旨電話で聴取していること、東京国税局査察部に保管されている書類には、右大森が帰鮮するというので同人が加登屋に対して有していた貸金につき原告が肩替りした旨の記載があること並びに本件更正に対する異議申立て及び審査請求の際原告は終始三辛商事有限会社に対し手数料を支払った旨主張していたのであって、前記松永に対して仲介手数料ないし経費を支払ったという主張をしていなかったことが認められ、右事実と弁論の全趣旨に照らせば、前記松永清澄及び原告代表者の各供述部分はたやすく採用できず、他に原告の松永ないし三辛商事有限会社に対する仲介手数料ないし経費の支払を認めるべき証拠はない。したがって、原告の松永ないし三辛商事有限会社に対する仲介手数料ないし経費の支払は無かったと認めるのが相当である。
(2) 次に原告は、石田利伊知に対してした強制執行に際し執行代理人に対する費用として被告の主張する二五万円を含めて七五万円を支出したと主張し、証人松永清澄及び原告代表者も右主張に副う供述をしている。
しかしながら、原本の存在及びその成立に争いのない乙第四号証の二、三、証人早川康雄の証言によって真正に成立したと認められる乙第一号証並びに同証言及び証人松永清澄の証言(後記採用しない部分を除く。)を合わせると、執行代理人に対する費用は全額原告代表者から松永清澄の手を経て中石昭夫に支払われたこと、本件更正に対する異議申立てについての調査の際被告所部係官は右中石から同人は二五万円以上受取っていないということを聴取しており、また右中石も被告に対し二五万円以外の金銭は受領していない旨の申立書及び二五万円の領収を裏付ける領収証のみを提出していることが認められ、右認定の事実に照らせば前記証人松永清澄及び原告代表者の各供述部分はたやすく採用できず、他に原告が二五万円を超えて執行代理人に対する費用を支出したことを認めるべき証拠はない。したがって、執行代理人に対する費用として二五万円を認めるのが相当である。
(3) 更に原告は、別表四記載のとおり同和信用組合上野支店に対する支払利息として、被告が主張する一八万四五〇〇円を含めて七七万九八八〇円を支払い、九五万六八〇〇円の債務を負担したと主張し、原告代表者尋問の結果により真正に成立したと認められる甲第二号証及び弁論の全趣旨により真正に成立したと認められる甲第四号証には右主張に副う記載があり、また原告代表者尋問の結果中にも右主張に副う部分がある。
しかしながら、前掲乙第五号証、第六号証、第九号証の一、二、第一一号証、第一二号証、第一三号証の一、成立に争いのない乙第三号証の一、第一四号証の一、二並びに証人早川康雄及び同永持公司の各証言を合わせると、原告の帳簿には支払利息としては被告の主張する一八万四五〇〇円だけが記載されていたこと、本件更正に対する異議申立ての際に原告は被告が主張する支払利息のほかに支払利息がある旨主張していなかったこと、本件更正に対する審査請求の際に、原告は支払利息が九七万七六〇〇円ある旨主張したが、その具体的な支払先、支払金額等の主張はなく、また右主張を裏付ける資料の提出もなかったこと及び被告指定代理人が東京国税局長名により前記組合に対して原告と右組合との取引状況等について照会したが右組合はそれに応じなかったことが認められる。また原告代表者尋問の結果(後記採用しない部分を除く。)によれば、原告代表者は昭和三六年から同四三年春まで前記組合の理事を勤める等右組合と密接な関係にあったことが認められ、右認定の諸事実及び弁論の全趣旨に照らせば前掲甲第二号証及び第四号証の各記載並びに原告代表者の供述部分はにわかに採用し難く、他に原告の主張を裏づける証拠がなんら存在していないことに照らすと、
被告主張の額を超えた支払利息は無かったと認定するのが相当である。したがって、原告の本件事業年度の支払利息は一八万四五〇〇円となり、原告の前記主張は採用できない。
(4) 更にまた原告は、李柱元に対して三一〇四万円を貸付けていたところ右貸金債権は本件事業年度において貸倒れとなったと主張し、証人李柱元の証言によって真正に成立したと認められる甲第三号証の一ないし五によれば李柱元の妻渡辺享子が原告に対し金額合計二八〇〇万円の小切手五通を振り出している事実をうかがうことができ、また右李柱元の証言及び原告代表者尋問の結果中には原告の右主張に副う部分もある。
しかしながら、前掲乙第五号証、第六号証、第九号証の一、二及び第一三号証の一並びに証人早川康雄及び同永持公司の各証言を合わせると、本件更正に対する異議申立てについての調査の際、原告の関与税理士は被告所部係官に貸倒損失がある旨主張したが、その具体的な貸付先及び貸倒金額についての主張は何も無かったこと、本件更正に対する審査請求において原告は明治食品商社に係る一七〇〇万円を含めて二八〇九万六〇〇〇円の貸倒損失がある旨主張したが右主張を裏付ける資料を一切提出せず、また東京国税不服審判所係官が明治食品商社を調査したところ該当する会社が存在しないことが判明したこと及び李柱元に対する貸付及び貸倒の事実について原告の帳簿には記載がなかったことが認められる。また、証人李柱元の証言及び原告代表者尋問の結果によれば、原告代表者は右のような原告の営業に甚大な影響を及ぼすべき多額の貸倒れを主張しながら李に対してなんら請求返済の督促等をしていないことが認められ、右認定の事実及び弁論の全趣旨に照らせば前掲甲第三号証の一ないし五並びに証人李柱元及び原告代表者の各供述部分によってたやすく原告主張の貸倒れの事実を認めることはできず、他に右主張を認めるに足りる証拠はないから、原告主張の貸倒損失はなかったものと認めるのが相当である。
(三) 以上述べたところから原告の本件事業年度の損金の額を算出すると、被告主張のとおり九五四万九二五円となる。
3 前記1、2で述べたところから原告の本件事業年度の所得金額を算出すると二一〇〇万八九五五円となり、これに対する法人税額は、別紙一のとおり七七七万二七〇〇円となる。
したがって、本件更正には原告の本件事業年度の所得金額を過大に認定した違法はないというべきである。
三 次に、本件決定について検討する。
1 原告が被告に提出した本件事業年度の法人税の確定申告書の事業種目欄には貸室業、不動産売買と記載されていたにすぎず貸金業については何らの記載もなかったこと及び原告が同和信用組合上野支店で本間明、白川勝一、大川慎一の仮名を用いて多額の預金取引を行っていたことについては原告において明らかに争わないから、これを自白したものとみなす。
2 前記二1(二)記載のとおり原告は本件事業年度において二八六九万七六八七円の貸付金利息を得ていたが、前掲乙第九号証の一、二及び証人早川康雄の証言によれば原告の帳簿には貸付金利息について何の記載も無かったことが認められ、また成立に争いのない乙第一〇号証によれば原告は本件事業年度の法人税の確定申告書に所得金額として前記二3認定の所得金額二一〇〇万八九五五円をはるかに下廻る五〇〇万円と記載していることが認められる。
3 そして、前記1の自白したとみなされた事実と前記認定の事実を総合すると、原告は本件事業年度の法人税につき課税標準の計算の基礎となるべき事実の一部を隠ぺいし、その隠ぺいしたところに基づいて本件事業年度の法人税の確定申告書を提出したものと認めることができる。
なお、本件事業年度の法人税の確定申告時に原告の帳簿が差押えられていたことは当事者間に争いがないが、前記認定の右帳簿に貸付金利息の記載がなかった事実に照らすと右争いのない事実をもって前示認定を覆すことはできない。
したがって、原告に対し過少申告加算税の額の計算の基礎となるべき税額に係る過少申告加算税に代え重加算税を賦課した本件決定に違法はなく、その税額は、別紙二のとおり一八一万八六〇〇円となる。
四 よって、原告の本訴請求はいずれも理由がないからこれを棄却することとし、訴訟費用の負担につき行政事件訴訟法第七条、民事訴訟法第八九条を適用して、主文のとおり判決する。
(裁判長裁判官 藤田耕三 裁判官 菅原晴郎 裁判官 北澤晶)
別表一
<省略>
別表二
<省略>
別表三
<省略>
別表四
<省略>
別紙一
法人税額の算出過程
<省略>
別紙二
重加算税の算出過程
<省略>